一時期、我が家の子どもたちが夢中になって作っていたものがあります。それは、クッキーです。今では他にもいろいろ作れるようになったので、クッキーだけにこだわらなくなったのですが、最初はほかのものを提案してもクッキーばかり作りたがりました。それに、自分から作ろうと言い出すこともありました。

なぜクッキーがいいのか子どもに聞いてみたところ、生地をこねるのが楽しいかららしいです。それから、自分でもできるようになった後は、型抜きをするのが一番お気に入りの作業なんだそうです。もちろん、食べて美味しいといういこともあるのですが、やはり作るところも楽しいということが大切なようです。

ところで、子どもって粘土遊びや泥遊びが好きですよね。いきなり話が変わってしまったので、どういうこと?と思われたかもしれませんが、これはクッキー作りとも関係があることで、子どもは指先や手を使って粘土をこねたり泥遊びをしたりするのが好きなものですよね。そういうことだったら飽きずに長続きするものです。

クッキー作りの生地をこねたり、型抜きをしたりというのはちょうど子どもが好きなそれらの遊びと似ています。つまり、子どもは料理をするぞと意識してやっているのではなく、遊びの延長のような感覚でクッキー作りをしているということです。ですが、これってとても大切なことなんですよね。子どもって、いろんなことを身に付ける際、遊びを通して身に付けていることもたくさんあります。

遊び感覚でできることは子どもにとって楽しいことであり、楽しいからこそ長続きするということなんですね。そして、楽しんで続けることで、さらにそのことに対する関心が高まって行くという流れができます。そうなると、自然に作ることや食べることといった食に対する関心も高まるのです。

それならいろんなものを作らせた方がいいのではないかと思うかもしれませんね。しかし、その必要はありません。思い切りそれを楽しんだら、不思議と別の事に目が向くものです。それに、今はしたくないと思うことをしても、それが楽しいとは感じられませんよね。そのため、一緒にいろんな料理をしたいからといって、子どもがクッキーを作りたいと言っているのに、無理に別の物を作る必要はないということなんです。

ここではクッキーを例として話をしましたが、別にそれがクッキーである必要はありません。お子さんが楽しんで作れるものなら何でもいいですし、お子さんにこだわりが無いようであればいろいろなものを試してみるのも楽しいものです。つまり、大切なのはお子さんと一緒に楽しめることで、そのためにはお子さんが好きだと思えることを中心にやってみるのがいいということなのです。

まだ私の子どもが小さい頃、なぜか私が泡立て器で何か混ぜていると、子どもが決まって手伝いたいと言って来ていました。混ぜる作業自体が楽しかったようで、いろんなものを混ぜたがりました。そのように、何か興味が持てること、お子さんが好きなことをたくさんやってみると、お子さんの中で料理は楽しいものだという気持ちが芽生えます。それが、将来食を考えるきっかけになるのです。