それでは、いざ子どもと一緒に料理をしてみようと思った時の事を考えてみましょう。子どもと一緒に何を作るかというのは、結構重要な問題です。それは、作るものによってどれくらい時間が掛かるかとか、作業が簡単か難しいかが決まってくるからです。

自分が料理をする時の事を考えてみても、時間が掛かって難しく、技術がいるようなものだったら失敗する可能性もありますよね。大人でもそんな時にはなんだかがっかりした気分になるものです。それは、子どもでも同じです。せっかくチャレンジしたことの結果が思わしくなかったら、がっかりしてしまいます。

もちろん、そんな時でも再チャレンジをして成功するまで頑張る姿勢を教えるとか、何度もやって成功する喜びを感じさせるとかいった点では意味があることです。ですが、今回のように食育につなげる意味で食に関心を持たせることを狙うのであれば、それはちょっと違うことになりますよね。関心を持ってもらうためには、やはり楽しいと感じられることが大切です。

そこで、失敗を重ねて成功する喜びを感じるよりも、まずは「できた!」という気持ちを子どもに感じさせることを狙うべきだということになるんですよね。だから、最初から難しいレシピを使って料理をするよりも、まずは簡単な料理やお菓子作りから始めた方がいいということになるのです。

料理でも、たとえばサラダであればレタスを手でちぎるとか、ミニトマトをお皿に乗せるとか、包丁を使わなくてもできる作業がありますからね。それで一品できたら、子どもも自分が作ったんだと思えて満足できるものです。ドレッシングを掛けるというのも子どもが楽しめる作業の一つですね。そういうのも含めて、自分でもできる、楽しいという気持ちを感じることが大切だと言うことです。

お菓子も簡単に作ることができるものがありますよね。うちでよく作るのが、団子の粉を使ったお団子です。水を入れてこねるところもですし、そのあとお団子の形に丸めるのも楽しいようです。ゆでるところは危ないので私がすることになりますが、それ以外の作業は楽しんでやっています。うちではきなこをまぶして食べることが多いんですが、きなこもお砂糖や塩を入れるので、それも面白いと言っています。

そういうことを重ねて行くうちに、今度は別の物も作ってみたいと言うようになりました。一緒にアイスクリームを作ったこともありますが、これも簡単なレシピを探せば凍らせる時間を除いて15分くらいでできるんですよ。そして、そうやって簡単な作業で出来上がると、大人も一緒にやっていて楽しいんですよね。

子どもと一緒に料理をする上で、大人も楽しめるということも大切だと思うんです。それは、私自身の苦い経験からも思うことです。まだ子どもが小さい時、一緒にクッキーを作ろうとしたことがあったんですが、型抜きすら上手くできないくらい小さい頃だったので、手間が掛かって大変だというイメージしか残りませんでした。

ちょっと目を離すと生地をぐちゃぐちゃにしてしまうし、粘土遊びくらいに思われていたのかもしれませんね。そうなると、一緒にやって私もなんだかイライラしてしまいますし、そうなると子どもも嫌がりますしね。そこで、型を使わなければいいんだと思って、次の時から手で丸めて押し潰すだけにしました。そうしたら、簡単にできて楽しかったんです。

そんな風に、無理に難しくしなくてもよかったんだと後で自分でも思いました。楽しくできる方が料理に対する関心も高まりますからね。子どもと一緒に料理を楽しむためには、できるだけ簡単な方法で、楽しく作れるように考えなければいけないということですね。